以前、林材新聞にコラムを連載していた時は、毎号、同じ大きさの紙面を提供して頂き、そこにピッタリ合う行数の文書を書いていました。
その癖でこのブログも当初は大体同じ長さで書いていましたが、ブログなのだから長さを気にする必要はないと気づき、今では適当な長さで書いています。ただ、「私の主張」みたいなブログなので、どうしても長めにはなりますが…
さて2回に渡り、上からの補助、指導による国産材需要拡大には限界があり、シェア50%を実現するには下からの、消費者を味方につけた需要拡大策が必要だと書いてきました。
しかし、例外が2つあります。1つは集成材のラミナをスギに切り替えること。これは既に一部で始まっています。
もう1つは、ツーバイフォー工法用の木材をスギに切り替えること。こちらはまだ始まったばかりですが、大手国産材製材メーカーも参加し、今後が期待されます。
当社は昔、ツーバイフォー工法用の木材の輸入販売をしていました。私が大学を卒業するのを契機に取り扱いを開始しましたが、数年でやめました。その理由の1つが、腐りやすい樹種がツーバイフォー工法用木材の主流になり始めたことです。
軽く、柔らかいので釘が打ちやすいその樹種は、北米の大工に比べ体力に劣る日本の大工にとっては福音でした。当社が扱うベイツガやベイマツの未乾燥の木材は売れなくなり、工務店は皆、軽くて柔らかい樹種に流れていきました。榎戸材木店もその樹種を扱えば良いのにと取引先からは言われましたが、外側を合板、内側を石膏ボードで覆い、壁内に通気性のないパネルで作られたツーバイフォー住宅に腐りやすい樹種を使えば、短期不良住宅になりかねないのは明らかです。そんな樹種を扱うのなら、ツーバイフォー用木材の取り扱いをやめた方が良いと、サッサと身を引きました。
やがて、在来工法でもその樹種の親戚みたいな木材が柱などに多用されるようになり、私の不安は一層、増しました。長期優良住宅をうたいながら、樹種の選択の重要性は忘れ去られたままです。
その中で、ツーバイフォー用木材に日本のスギをとの流れが出て来たことは、大変、嬉しいことです。以前から群馬県でツーバイフォー住宅を手掛ける会社は特注でスギのツーバイフォー用木材を製材させて使っていました。以前の当社の取引先で、相変わらず木へのこだわりを持った会社だなぁと感心していました。
今後、この流れが本格化してくれることを、心から願っています。